12月10日県議会
12月10日の県議会での丸刈り質問

<平野議員の質問>

 丸刈り校則の見直しの進捗状況についてでございます。
 六月議会におきまして、県民クラブのT県議がこの問題を取り上げ、教育長に踏み込んだ答弁を求められました。その際、T県議は、丸刈りは人権侵害であるとの認識に立ち、該当する学校で子供の人権と共生、ともに生きるということですが、という視点で、丸刈りを含めた校則の見直しを進めるよう、市町村教育委員会を通じて指導されてはどうかと質問されています。
 それに対し県教育長は、校則自体には意味はあり、校長は学校運営の責任者として教育目標達成のため校則を定めることができる、しかし、丸刈りを定めた校則については、時代の進展等の中で、教育的効果の有無を判断しながら、見直しを含めて検討していく時期に来ているのではないかと、前向きな御答弁をなさいました。さらに、各市町村教育委員会に対して、関係者による協議を行うための仕組みづくりを促しながら、積極的な校則の見直しがなされるように理解を進めていくと答弁されています。
 しかしながら、同じ答弁の中に、見直しについて、生徒の実態や保護者の方々の考え方、地域の実態等を踏まえ、十分な論議を行うことが大切ともおっしゃっています。確かに開かれた場での論議は十分なされなければなりませんが、本来は丸刈り強制の校則は人権侵害に当たるという認識に立って、一日も早い校則のこの部分の廃止に向けてどう取り組むか、さらには、廃止後の中学生らしい頭髪のルール、つまり整髪料の使用や脱色やパーマ禁止などですが、それらについて具体的に論議するということではなかったのでしょうか。
 ところが、生徒の実態、保護者の考え方、地域の実態を踏まえての論議という点が誇張されてしまったのか、丸刈り是非論に終始して、学校現場の廃止に向けての積極的な取り組みにつながっていないのが残念です。それは、六月議会での教育長の答弁後、丸刈り強制校則を持っていた県下百五校のうち、廃止に至ったのが東陽中学校わずか一校であることからも明らかです。
 七月十二日付の熊本日日新聞のインタビューでも、教育長は「検討委員会の結成や開催はそう難しい話ではない。なぜ教育現場が素早く検討に着手できないか不思議だ。できるだけ早い見直しを期待する。二学期が始まるまでには、見直しを終えてもらいたい。」と答えておられますが、実際は、二学期が始まるどころか、二学期が終わろうとしている現時点でも結論が出ていないわけです。
 保護者の皆さんが心配しているのは、これがさらに三学期に入り、学期末の煩雑な時期を超え、新学期になり議論が棚上げになることです。年度を超え、校長がかわった場合、一からの議論のやり直しになるとか、停滞するという事態は決してあってはならないと思います。
 繰り返しますが、そもそも頭髪を丸刈りに強制するということは人権侵害です。頭に傷を持っている生徒、出産時に頭の形が変形した生徒など、さまざまな事情を持っている生徒がいます。この子たちだけ長髪を許すということは、逆にそういう人たちは傷を持っているということを示すことにもなります。さまざまな事情を持っている生徒がいるわけです。そのような生徒も含め、一人でも苦しんでいる生徒や傷ついている生徒がいるならば、中学生らしい長髪か丸刈りかを選択する予知のない今の校則を放置することは人権侵害に当たると思います。本来、まずはこの認識が根本になければならないと思いますが、果たしてどれだけの校長にこの認識があるのでしょうか。
 また、七月四日の定例記者会見で、県知事が、丸刈りを含めた校則全体について時代に即しているかどうかを協議するいいチャンス、また、子供の権利条約の中には意見表明権があり、日本も批准していると、当事者である子供の意見を十分踏まえた上で取り組むべきとの考えを述べておられます。しかし、一方、それぞれの学校で、子供たちが論議を尽くして自分たちが丸刈りでいいということであれば、それは十分な論議を行った上でなされていくわけですから、選択されたということだと思いますとも言及されており、これをとらえて消極的になっている現場もないかと少々気がかりです。
 各学校長は、さらに、校長会や地域の学校との横並び意識により、丸刈り校則を廃止するという時代の流れからすると、当然の判断を下せていないということはよもやないとは信じますが、県教委からのさらなる強い働きかけは不可欠だと思います。
 現場での取り組みの方向性や進捗状況について、人権の視点で教育長の御見解をお願いいたします。

<上記の質問に対して、県教育長の答弁>

「丸刈りを定めました校則につきましては、学校や生徒を取り巻く状況も変化しておりますし、地域の実情等を踏まえ、関係者による十分な論議を行いながら、見直しを含め検討してほしい、そのような気持ちでお願いをしているところでございます。
 その見直しの取り組み状況でございますが、現在、丸刈り校則を定めている百四校すべての中学校におきまして、生徒会や学年、学級での話し合い、職員会、保護者による協議、関係者によります検討委員会の開催、あるいは生徒や保護者へのアンケートによる意識調査など、さまざまな見直しのための取り組みが行われているところでございます。
 校則は、本来、生徒一人一人がより快適な学校生活を送り、学校教育がスムーズに展開されるために設けられるものと考えております。
 今後とも、市町村教育委員会と連携しながら、学校を取り巻く状況に応じた適切な校則が定められること、生徒が自主的に校則を守っていくような指導が進められるよう、そのような理解を進めてまいりたいというふうに考えております」

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