丸刈りを拒否の卓球部主将、試合に出場できず−−熊本の中学、辞退を強要
<丸刈りを拒否の卓球部主将、試合に出場できず−−熊本の中学、辞退を強要>

(2002年6月20日 毎日新聞記事)

 熊本県北部の町立中学校3年の卓球部主将の男子生徒(14)が、校則の丸刈りを拒否して、学校側から5、6月の地元の卓球大会出場を辞退させられていたことが分かった。
 関係者によると、生徒は2年生の秋から卓球部の主将。昨年10月、同校の教諭に連れられて熊本市内であった県教組の教研集会に参加して丸刈りの強制は人権侵害と知り「自分で自分の人権を侵害することはない」と髪を伸ばし始めたという。
 生徒は5月中旬の地元の卓球大会に参加費を払ってエントリーしたが、部の担当教諭が勝手に棄権を申請、出場できなかった。今月8日の試合は団体、個人戦ともメンバーからはずされた。
 この試合前、担当教諭から髪を切ったら出場を認めると言われており、試合翌日、約半年ぶりに丸刈りにした。生徒は「7月の中学最後の試合にどうしても出たかった」と話している。
 同校は、校則の生徒心得で「男子は丸刈りとし、その他中学生としてふさわしくない髪型は禁止」と規定している。生徒は3年になって学級委員長に選ばれ、丸刈り強制問題を生徒議会の話題に上げたが、その翌日、学級担任らに呼び出され「委員長の立場を利用し、個人的な意見を議会で出すな」などと注意されたという。
 同校の校長は「丸刈りにしなければならない合理的な理由はないかもしれないが、ルールなら守るのは当然。校則を変えたければ丸刈りに戻したうえで正当な手続きを取るべきだ」と言う。しかし、生徒議会への発議が止められた件については「一部の子供の意見に過ぎず、生徒全体では問題になっていない」と話している。【阿部周一】
 ◇丸刈り校則の問題に詳しい、熊本県弁護士会の加藤修弁護士の話
 合理的な理由のないルールは単なる押し付け。生徒個人の自由追求の権利を侵害したとなれば、丸刈り強制は憲法違反だ。(校則は)生徒の意思で改廃する権利は事実上ないのが実態だろう。
                                以上


◆戻る inserted by FC2 system