人権救済申し立て
中学校の丸刈り校則に対する人権救済の申し立ての内容

申し立ての趣旨

 現在、熊本県内の47校(24%)の公立中学校で、丸刈り校則が実地されています。
 中学校の校則により男子生徒を強制的に丸刈りをするということは、自分の髪型を自分で決めさせないということであり、人権侵害の可能性があります。
強制的に丸刈りにされている中学生の多くが、屈辱感、差別感を感じています。
熊本県弁護士会に、熊本県下の公立中学校(47校)の丸刈り強制を速やかに撤廃するように、救済をお願いします。

申し立ての理由

1、 全国的には、ほとんど廃止された校則ですが、未だに日本の約数%の公立中学校で丸刈り校則を実施されています。 その大半は、鹿児島県と熊本県郡部に集中しています。現在、九州では、大分、宮崎では全廃、福岡、佐賀、沖縄では1校、長崎では12%、鹿児島では31%、熊本では24%の中学校に丸刈り校則があります。平成6年5月に子どもの権利条約が日本で批准されるのをきっかけに、各都道府県で丸刈り校則は激減したようです。
 昨年、丸刈り校則実施している中学校で、丸刈り拒否した男子生徒を卒業式や地元の卓球大会に出さなかったという問題が全国的なニュースとして取り上げられたために、熊本県でも、丸刈り校則の是非を問う議論が活発になり、多くの中学校が丸刈り廃止を決めました。しかし、未だに47校が丸刈り校則を実施しています。

2、 日本において40年くらい前までは、中学生の丸刈り校則は異常なことではありませんでした。当時は、衛生上の問題や経済的な問題で、家庭でバリカンを使って刈っていたこともあり、丸刈り校則に合理性があったのですが、現在では、そういった合理性は全く認められません。
 現在、バリカンを使って丸刈りにする習慣がない家庭も多く、長髪より丸刈りの方が床屋に行く回数が多くなり、散髪代が余計にかかり、経済的にも困った問題だと言う保護者もいます。
 また、中学校に進学予定の小学生の多くは長髪です。保護者によって丸刈りに対する考え方は異なりますが、よその子どもの髪型まで決定する権利はありません。地域においては、ずっと丸刈りが続いている実情はありますが、合理的事情はありません。
現在では、男女共同参画や児童虐待防止の面から考えても時代錯誤の校則だと思えます。

3、 丸刈り中学校の子どもたちの中には、「どうして自分達だけが丸刈りなのか。市内や隣町の中学生は長髪なのに」と差別されていると感じ、大変、心を痛めている子どもも少なくありません。
 10年前と比べると、子どもたちは、スポーツクラブや、塾などで、地域外の中学生と場を共有することが多くなり、丸刈りのことを理由に「ハゲ」と言ってからかわれたり、いじめられたりすることもあるそうです。
また、同じ熊本県内の公立中学校でありながら、長髪校と丸刈り校があり、転校によって、丸刈りから長髪になったり、長髪から丸刈りにさせられたりするのは、子どもたちも納得いきません。

4、 中学校では、教師が生徒の頭に手をあて、髪の毛が指から出ると、部活の試合に出さないなどと言って、無理やり髪を切らせているそうです。数年前、クラスの生徒の前で見せしめの散髪をしたりする教師もいました。そのような教師の行為は、生徒に対する虐待と思えます。

5、 中学生の丸刈りは、地域の伝統と文化だという大人もいますが、そのような理由で人権にかかわる個人の髪型の強制をするのは、許されないことだと思います。

6、 強制丸刈りは、個人の尊厳を損なうものであり、子どもにも人権があります。様々な個人的な理由で、丸刈りにだけにはなりたくない子どもがたくさんいます。
 頭髪は、身体の一部です。個人、または家庭で話し合って決めるべきものであって、学校の校則として「丸刈り」という奇異な髪型を強制的に子どもたちに押し付けるべきではないと思います。

7、丸刈りは非行防止に役に立つと妄信している大人が多いのですが、実際、非行防止に役に立ったという実例はなく、根拠がありません。

このような理由で、熊本県郡部の一部の中学校で行われている“丸刈り校則”は、行き過ぎた校則だと思います。学校側は丸刈り校則を廃止し、中学生らしい長髪を認めてあげるべきだと思います。

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